チョン・ホヨン
チョン・ホヨンは韓国のモデル・俳優。10代からモデルとして活動し、ルイ・ヴィトンなど海外ブランドのショーで活躍した。2021年の『イカゲーム』で俳優デビューし、韓国人俳優として初めて米国俳優組合賞を受賞。2026年にはナ・ホンジン監督『호프』でスクリーンデビューした。[4][6][10]
更新 2026-10-08/出典確認 2026-10-08
生い立ちとデビューまで
背の高さを生かす道
チョン・ホヨンはソウル郊外の面牧洞(ミョンモクドン)で生まれ育った。幼いころから背が高く、周囲からはたびたびモデルを勧められていたという。本人は、15歳のころには将来どうやって生計を立てるかを真剣に考えるようになり、背が高いのだからモデルをやってみようと思い立ったと振り返っている。10代のうちからソウル・ファッションウィークにフリーランスで飛び込み、事務所の後ろ盾がないままキャスティングを受けてショーに出演した。所属先を探す際もオーディションや面接を自力で重ねており、誰かに見いだされるのではなく、自分の意思で業界の扉を叩いた点が彼女の出発点の特徴である。[9][3][4]
事務所との契約と番組での準優勝
2012年、彼女はモデル事務所ESteem(エスティーム)に自ら電話をかけ、面談に出向いたその場で所属が決まった。SBSは、2011年のオーディション番組『도전! 수퍼모델 코리아』(韓国版『ネクスト・トップモデル』)第2シーズンへの出演をデビューとしている。その後同番組の第4シーズンに挑んで2位に入り、韓国版『VOGUE』の表紙も飾った。2015年10月の米国版『VOGUE』の取材では、同シーズンのソウル・ファッションウィークで19ものショーを歩いたことが紹介され、本人はショーや撮影だけでなく自分で映像などのコンテンツを作ることも必要だと語り、翌月にニューヨークでキャスティング関係者と会う予定を明かしていた。[3][8][4]
ニューヨークから世界のランウェイへ
やがて彼女は単身ニューヨークへ渡った。最初に住んだのはイーストビレッジの4階にある狭い部屋で、知り合いもほとんどいなかったという。番組で2位になってから3年後にはルイ・ヴィトンのショーでファッションウィークにデビューし、赤く染めた髪と長身を印象づけた。2010年代後半にはシャネル、フェンディ、ミュウミュウ、リカルド・ティッシによる最初のバーバリーのコレクションなど、一流ブランドのショーを次々に歩いている。シャネルやボッテガ・ヴェネタ、ルイ・ヴィトンのモデルも務め、韓国出身のモデルとして国際的な足場を築いた。[9][4]
映画が導いた演技への関心
世界を飛び回る生活のなかで、彼女は機内やホテルの部屋で映画を見ることに多くの時間を費やした。『エターナル・サンシャイン』『ファーゴ』『キル・ビル』などを繰り返し観て、フランシス・マクドーマンドやペ・ドゥナ、アダム・ドライバーのように役に溶け込む俳優に惹かれたという。一人の時間が増えるほど「自分は何者か、人間であるとはどういうことか」を考えるようになり、その問いに向き合いたいという思いが演技へ向かわせたと本人は説明している。そしてニューヨークでファッションウィークの準備をしていたさなかに『イカゲーム』のオーディションの話が届き、これが生まれて初めて受けた演技のオーディションとなった。[4][9][5]
活動の歩み
『イカゲーム』で世界の注目を集める
2021年9月17日に配信が始まったNetflixシリーズ『イカゲーム』で、脱北者のスリ、カン・セビョク(参加番号067)を演じて俳優デビューした。作品はNetflixで最も視聴されたオリジナル作品となるほどの社会現象となり、彼女のInstagramのフォロワーは数日で数百万人単位で増え、韓国の女優として最多になったと伝えられた。2022年2月27日(現地時間)には第28回米国俳優組合(SAG)賞でドラマシリーズ部門の女優賞を韓国人俳優として初めて受賞。同年7月には第74回エミー賞ドラマシリーズ部門の助演女優賞候補となり、韓国人俳優として初のノミネートを果たした。演技デビュー作での同部門ノミネートも初めてと報じられている。[2][4][6][7]
モデルと俳優の両立、ハリウッドへ
『イカゲーム』配信直後の2021年10月、ルイ・ヴィトンは彼女をグローバルアンバサダーに起用した。SAG賞の授賞式に先立って、米国版『VOGUE』の表紙にアジア人として初めて単独で登場している。俳優としては、アルフォンソ・キュアロン監督のApple TV+シリーズ『ディスクレーマー 夏の沈黙』で、ケイト・ブランシェット演じるキャサリンの助手ジスを演じた。英語で臨む初のハリウッド作品で毎日が挑戦だったと振り返る一方、ブランシェットは彼女を、天気のように表情を変えるチェーホフ劇のヒロインになぞらえて称えた。モデルとしても、ルイ・ヴィトン初のビューティーコレクションの顔を務め、2025年秋冬のファッションキャンペーンにエマ・ストーンとともに登場している。[4][6][8][9]
新事務所とナ・ホンジン作品でのスクリーンデビュー
2025年1月には、イ・ビョンホンらが所属するBHエンターテインメントと専属契約を結んだ。2026年には、『哭声/コクソン』から10年ぶりとなるナ・ホンジン監督の新作『호프』(原題。非武装地帯の港町を舞台にしたSFアクション・スリラー)でスクリーンデビューを果たした。ファン・ジョンミン、チョ・インソンと共演し、どんな状況でも自分の務めを果たそうとする港の巡査ソンエを演じている。作品は第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に招待され、7月15日に公開。10月7日の第35回釜日映画賞では同作で新人女優賞を受賞し、授賞式には映像で参加して、恐れよりも演じる楽しさを深く味わえたと感謝を述べた。[8][10][12]
エピソード
初めてのオーディション
『イカゲーム』は彼女にとって初めてのオーディションだった。ニューヨークでファッションウィークの準備をしていたとき、当時の所属事務所から審査用の映像を撮って送るよう求められ、食事の時間以外はほとんど台本と向き合っていたという。事前に渡されたのは、セビョクと弟の場面、北朝鮮とのブローカーとのやり取り、最終話の一つ前の回でのギフンとの会話という3つの場面だけで、背景がわからない部分は想像で埋めるしかなかった。映像を見たファン・ドンヒョク監督は、目つきや外見、声、演技のトーンが探していたセビョクそのものだと感じて本人に会うことを望み、彼女はすぐに韓国へ戻って対面のオーディションに臨んだ。[5][4]
セビョクと重ねた孤独
役作りでは、セビョクについての詳細なノートを作り込んだ。その過程で、感情を内に閉じ込めるセビョクの姿に、海外で一人働いていたころの自分を重ねたという。良いことがあっても家族や友人と喜びを分かち合えず、悪いことが起きても頭の中だけで抱え込んでいた経験があったからこそ、彼女の孤独と強さが理解できたと語っている。一方で、ランウェイで身についた歩き方の癖を消し、自然な動きを学び直すのには苦労した。それでも、カメラが自分をどう捉えるかを知っていた点ではモデルの経験が役立ったという。一人で臨む場面の撮影日に、共演のキム・ジュリョンとユ・ソンジュがモニターのそばに残って励ましてくれたことを、撮影中の最も温かい思い出に挙げている。[4]
ナ・ホンジン監督との出会い
『호프』への出演は、監督からの面会の申し出がきっかけだった。本人はオーディションに行くつもりで臨み、強い眼差しの監督の前では取り繕っても見抜かれると考えて、ありのままの自分で話したという。監督は「これから忠武路(韓国映画界)に入るのだから」とジャージャー麺をごちそうし、別れ際に製作会社の代表へ彼女に台本を渡すよう告げた。台本を抱えて帰宅した彼女が最初にしたのは、タイトルの下に自分の名前を書き込むことだった。のちに、『イカゲーム』を観ていたファン・ジョンミンが監督に彼女の名前を挙げていたことも知った。撮影に向けては銃の扱いや射撃姿勢を学び、カーチェイスを自らこなすために第1種普通運転免許を取得、5〜6か月のウエイトトレーニングで筋肉量を4キロ増やした。[11][10]
背中を押した言葉
SAG賞で名前を呼ばれた瞬間、彼女は驚きのあまり通訳と手をつないで壇上へ駆け上がった。韓国の代表として見られることに重圧を感じ、自分がふさわしいのか疑ったこともあったが、会場でサンドラ・オーやグレタ・リーが駆け寄って祝福してくれたことで、同じルーツを持つ者同士の支えを実感したと振り返る。モデル業を続けるべきか迷っていた時期には、ルイ・ヴィトンのニコラ・ジェスキエールから、若いモデルたちが彼女の姿を見てモデルと演技のどちらかを選ぶ必要はないと学んでいると声をかけられ、自信を取り戻したという。F1のトロフィー披露という大役でも、意味を考えすぎず「三歩歩いて手をどう動かすか」に集中して緊張を乗り切ったと明かしている。[9][10]
プロフィール
作品
年は作品の公開日・放送開始日です。本人の参加時期を示すものではありません。
出典
リンク先の著作権は各発行元に帰属します。本文は転載せず、確認した事実をもとに書き起こしています。
- チョン・ホヨン — 人物の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- イカゲーム — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- ソウルのトップモデル、チョン・ホヨンの素顔(インタビュー)Vogue(米国版)/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- 『イカゲーム』のチョン・ホヨン、モデルから俳優へ(インタビュー)Vogue Hong Kong/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- 『イカゲーム』制作発表会、オーディションのためにニューヨークから帰国毎日経済(スタートゥデイ)/参考出典/確認日 2026-10-08
- 『イカゲーム』チョン・ホヨン、米SAG賞で女優賞を受賞KBS芸能/公式一次情報/確認日 2026-10-08
- チョン・ホヨン、韓国俳優初のエミー賞助演女優賞候補にTVレポート/参考出典/確認日 2026-10-08
- チョン・ホヨン、BHエンターテインメントと専属契約SBS芸能ニュース/公式一次情報/確認日 2026-10-08
- ホヨンが語るモデル時代、ハリウッド、ルイ・ヴィトン(インタビュー)ELLE UK/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- 『호프』でスクリーンデビューしたチョン・ホヨン(インタビュー)韓国日報/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- 『호프』チョン・ホヨン、ナ・ホンジン監督との出会いを語る(インタビュー)スターニュース/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- チョン・ホヨン、『호프』で釜日映画賞新人女優賞エクスポーツニュース/参考出典/確認日 2026-10-08