イ・ボヨン
イ・ボヨンはソウル出身の俳優である。偶然のきっかけで芸能界入りし、挫折と休止を経て『いとしのソヨン』『君の声が聞こえる』で頂点に立った。俳優チ・ソンの妻で、出産後も『マザー』『ポジション』などで主演を続けている。
更新 2026-10-08/出典確認 2026-10-09
生い立ちとデビューまで
スカウトを嫌った父の誤算
イ・ボヨンは1979年、ソウルに生まれた。父方にも母方にも娘は彼女一人しかおらず、そのぶん厳しくしつけられて育ったという。街を歩けば芸能事務所から声をかけられることが多かったが、両親はそれを快く思っていなかった。そこで父は、芸能界で働く友人に娘と会ってもらい、この世界は夢見るなと言い聞かせてほしいと頼んだ。ところが当の友人は彼女を見るなり、ドラマにカメオで出てみないかと誘ってしまう。説得のはずの面会が、かえって芸能界への入口になったのである。2000年にはミスコリア大会に大田・忠南代表の「真」として出場し、アナウンサー試験でも最終段階まで進んだことがある。
望まぬまま始まった俳優業
広く顔を知られたのは2002年である。雪緑茶のCMで本格的に活動を始め、続くアシアナ航空のCMで一気に注目を浴びた。もっとも、自ら望んで入った世界ではなかったため、性格にも生活リズムにも合わない芸能活動は苦しいものだった。マネージャーからは体力づくりとして砂袋を足に巻いて運動場を走らされ、事務所は本人に相談もなく出演を決めた。演技を習ったこともないまま、長編ドラマ『어여쁜 당신(きれいなあなた)』、時代劇『ソドンヨ』、映画『卑劣な街』の3作を並行して撮影した時期もある。その働きぶりから、ファンの間では「牛のように働くボヨン」をもじったあだ名で呼ばれた。2005年にはKBSとSBSの両方で新人賞にあたる賞を受けたが、現場に向かうこと自体が怖かったと後に明かしている。
活動の歩み
一度は引退を決めた日々
心身の疲れは限界に達していた。『ミスター・グッドバイ』の後、彼女は芸能界を離れるつもりでいたが、かつて初めて大きな役を与えてくれたプロデューサーへの恩返しとして『ゲームの女王』に出演する。しかし撮影中に倒れ、病院に運ばれてしまった。事務所との契約が切れると姿を消し、うつ状態でカーテンを閉め切った部屋から出られない日々が続いたという。そんな彼女を少しずつ引き戻したのが、当時の恋人チ・ソンや周囲の人々の説得だった。復帰作の映画『ワンス・アポン・ア・タイム』で初めて演技の面白さに気づき、演技を学びたいと選んだ『私は幸せです』では体重が落ち、唇が裂けるほど消耗しながらも役に向き合った。
イメージを壊す挑戦
清純な初恋の相手役が続くと、今度は殻を破りたいという思いが強くなった。そこで選んだのが、キム・ウニとチャン・ハンジュン夫妻によるtvNのブラックコメディ『위기일발 풍년빌라(危機一髪プンニョンヴィラ)』である。地上波では審議が通りにくい題材だったためケーブル局での放送となったが、成功の目安とされた視聴率1%を超えた。その後も『富豪の誕生』『愛情万々歳』と変化を求め続け、無理に別人になるより少しずつ変わればいいと考えるようになる。2012年の『赤道の男』では、演出家キム・ヨンスのもとで現場で尊重される喜びを知り、仕事が心から楽しいと感じたという。
『ソヨン』と『君の声』で頂点へ
『赤道の男』の撮影中に届いたのが、KBS2の週末ドラマ『いとしのソヨン』の出演依頼だった。50話の長丁場に一度は断ったが、再び声がかかったことで運命だと感じて引き受けた。タイトルロールを演じきった同作は最終回で最高視聴率47.6%を記録する大ヒットとなる。役に深く入り込んだ反動で休もうとしていた矢先、SBS『君の声が聞こえる』の企画書に心をつかまれ、すぐに出演を決めた。型破りな国選弁護人チャン・ヘソンは「チャン弁」の愛称で社会現象となり、イ・ジョンソクとのコンビも人気を集めた。2013年のSBS演技大賞で大賞を受け、翌年の百想芸術大賞ではテレビ部門の女性最優秀演技賞に輝いている。
母となってからの主演作
2014年の『神の贈り物-14日』の後、長女の出産を経て約3年間育児に専念した。復帰作に選んだのは、脚本家パク・キョンスの名前だけで出演を決めたという『귓속말(耳打ち)』である。2018年のtvN『マザー 無償の愛』は日本ドラマのリメイクで比較を心配されたが、回を追うごとに評価を高め、カンヌ国際シリーズ・フェスティバルのコンペ部門にアジアから唯一選ばれた。長男の出産で再び休んだ後は、『花様年華』、最高視聴率10.5%の『Mine』、16%を記録した『ポジション ~広告代理店の女王~』、2024年の『ハイド 私の夫の秘密』と主演作を重ねる。2025年にはMBC『メリー・キルズ・ピープル』で救急医ウ・ソジョンを演じ、2027年上半期放送予定のENA『이혼조사관 홍말금(離婚調査官ホン・マルグム)』でもタイトルロールを務めることが発表された。
エピソード
チ・ソンとの長い恋
夫チ・ソンとの縁は、2004年のドラマ『ラストダンスは私と一緒に』での共演に始まる。当初、彼女は俳優同士の恋愛に負担を感じて交際の申し出を断ったが、チ・ソンの真剣な気持ちに次第に心を開いたと伝えられている。2007年に交際を公表し、6年近い公開恋愛を経て2013年9月に結婚した。引退まで考えた時期に彼女を支えたのがチ・ソンだったことは、本人の歩みを語るうえで欠かせない事実である。二人の間には一男一女がいる。韓国の芸能界では理想の夫婦の代表格として名前が挙がることが多く、互いの作品を応援する姿もたびたび話題になる。
作品選びの背景にある関心
イ・ボヨンは10年以上にわたり、海外でのボランティアやユニセフの活動を続けてきた。もともと児童虐待の問題に強い関心を持っていたことが、虐待を受ける子どもを救おうとする教師を演じた『マザー』への出演につながったとされる。同作は国際的な評価に加え、百想芸術大賞の作品賞も受賞した。2025年にはユニセフ親善大使としてドキュメンタリー『프로젝트 블루(プロジェクト・ブルー)』にも参加している。演技を楽しめなかった新人時代から、自ら作品を選び抜く現在まで、その変化の大きさこそが彼女の物語である。
プロフィール
作品
年は作品の公開日・放送開始日です。本人の参加時期を示すものではありません。
出典
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- イ・ボヨン — 人物の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- マザー 無償の愛 — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- ハイド 私の夫の秘密 — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- ポジション ~広告代理店の女王~ — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08