イ・ジュヨン
イ・ジュヨンは韓国の俳優・映画監督である。独立映画『메기(なまず)』『野球少女』などで「インディーズ映画のアイドル」と呼ばれ、『梨泰院クラス』のマ・ヒョニ役で広く知られた。是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』でカンヌの舞台にも立ち、近年は演出や舞台にも活動を広げている。
更新 2026-10-08/出典確認 2026-10-09
生い立ちとデビューまで
体育学科からの転科
1992年2月14日生まれのイ・ジュヨンは、もともと俳優志望ではなかった。慶熙大学に入ったときの専攻は体育学科で、目標も定まっていなかったという。きっかけは、週に一度大学路へ演劇を観に通っていたことだった。舞台を観続けるうちに自分も演じてみたいという思いが抑えきれなくなり、2年生で演劇映画学科へ移っている。本の虫でもあり、高校時代は夜間自習どころか授業中にまで隠れて本を読み、教師に取り上げられたこともあった。学校図書館では貸出冊数の上限を増やしてもらい、とりわけ恩田陸の作品はほぼすべて読んだと語っている。
短編映画での下積み
スクリーンデビューは2012年、主演を務めた独立映画『조우(遭遇)』である。その後は独立映画で経験を積み、ネット上に映像を流出させられた女性スジンを演じた短編『네가 모르는 이야기(君の知らない話)』により、2014年の第4回高陽スマート映画祭で主演女優賞を受け、初受賞を果たした。同じ2014年、釜山平和映画祭で知り合ったのがチャン・リュル監督で、以後も演技について相談する仲になった。監督の2016年作『春の夢』には自分と同じ「ジュヨン」という役名で出演し、同作が第21回釜山国際映画祭のオープニング作品に選ばれたことで、初めてレッドカーペットを歩いている。
活動の歩み
「インディーズ映画のアイドル」へ
評価を決定づけたのは2017〜2018年の2本の主演作である。チョ・ヒョンフン監督の長編第1作『꿈의 제인(夢のジェーン)』では家出した若者たちが身を寄せ合う共同体の一員ジスを、イ・オクソプ監督の『메기(なまず)』では看護師ヨ・ユニョンを演じた。『메기』は2018年の第23回釜山国際映画祭で4つの賞を獲得し、「今年の俳優賞」は彼女自身が受けた。同じ時期には『ザ・ネゴシエーション』や『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』にも出演し、独立映画ファンからは「インディーズ映画のアイドル」と呼ばれた。2019年にはKBS『ドラマスペシャル』の一編「집우집주」に主演し、同年のKBS演技大賞で女性連作・単幕劇賞を受けた。
『梨泰院クラス』とカンヌ、ベルリン
一般の視聴者に名前が広まったのは、2020年のJTBC『梨泰院クラス』である。演じたのはトランスジェンダー女性のマ・ヒョニで、中性的な雰囲気とハスキーな声が役に合うと評判になった。同年の主演映画『野球少女』では、プロ入りを夢見る高校の投手チュ・スインを演じ、第19回ニューヨーク・アジアン映画祭でライジングスター賞を受けている。2022年は是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』でイ刑事役を務め、カンヌ国際映画祭のレッドカーペットに立った。同年には短編『문 앞에 두고 벨 X』で脚本・監督も手がけ、2023年には香港・中国合作の主演作『녹야(Green Night)』がベルリン国際映画祭のパノラマ部門に招待された。
舞台と演出、近年の活動
2025年には斗山人文劇場の『サンクチュアリ・シティ』で初めて舞台に立ち、続く『恋におちたシェイクスピア』第2シーズンではヴァイオラ役をトリプルキャストで務めた。映像ではDisney+『ナインパズル』に派出所の巡査部長ナム・ナリ役で出演し、Wavve・Dramaxの主演作『단죄(断罪)』では、ボイスフィッシング詐欺で家族を失った無名女優ハ・ソミンが、ディープフェイクを使って犯罪組織に潜入し復讐する役で、本格的なアクションに挑んだ。2026年5月に事務所との契約が満了してからはフリーで活動している。6月にはアニメーション映画『순례자들은 왜 돌아오지 않는가』で声の出演を果たし、次の監督作『VOYAGER』も準備中である。
エピソード
役づくりの裏側
『野球少女』の撮影前には、プロ入りを目指す実際の高校生選手たちと1か月の合宿訓練を行い、トライアウトの場面では直球やカーブ、ナックルボールまで代役なしで投げた。『梨泰院クラス』のマ・ヒョニ役はオーディションではなく監督からの提案で、制作陣は男性俳優と女性俳優のどちらを起用するか迷った末、本人と話して決めたという。『녹야』では最初は出演をためらったが、主演のファン・ビンビンから「この役にふさわしいのはあなただ」という手書きのメッセージを受け取り、心を動かされて出演を決めた。2018年の釜山国際映画祭では受賞の連絡がなく宿で休んでいたところ、ク・ギョファンに誘われて他の受賞者を祝いに行った会場で自分の名前を呼ばれたという。
発言をめぐる論争と素顔
2016年10月、ツイッターで「女優(여배우)は女性嫌悪的な言葉だ」と投稿したことが同年11月に話題となり、賛否が分かれた。その後「人類の半分の声は止められない。応援する声だけを聞く」と投稿して再び議論を呼んでいる。私生活では、保護施設から迎えた愛犬ティグと暮らしており、名前はアニメ『カンフー・パンダ』のタイグレスに由来する。ラジオDJが唯一の夢だと語ったこともあり、2020年夏にはSBSラジオの映画番組で実際に進行役を務めた。
プロフィール
作品
年は作品の公開日・放送開始日です。本人の参加時期を示すものではありません。
出典
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- イ・ジュヨン — 人物の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- ベイビー・ブローカー — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- 梨泰院クラス — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- よくおごってくれる綺麗なお姉さん — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08