チョン・ジヒョン
チョン・ジヒョンは韓国の俳優。10代でファッション誌の表紙モデルとして芸能界に入り、映画『猟奇的な彼女』でアジア各地に知られる存在となった。『星から来たあなた』『暗殺』などで再び大きな成功を収め、2026年には『군체』で11年ぶりにスクリーンへ復帰した。[5][6][15]
更新 2026-10-08/出典確認 2026-10-08
生い立ちとデビューまで
江南育ちの負けず嫌い
チョン・ジヒョンはソウル江南区の生まれで、幼いころから江南で育った。OBSの芸能番組が関係者の証言をもとにたどったところでは、学生時代は近寄りがたい美少女というより負けず嫌いのおてんばで、中学の合唱練習では指導役だった一学年上の先輩オク・ジュヒョンが「とことんやり抜く性格だ」と感じるほど練習に打ち込んだという。10代のころ、知り合いの年上の女性について行った先でファッション誌の表紙モデルに抜擢され、思いがけず芸能界の入り口に立った。その雑誌が大手芸能事務所の代表の目に留まり、代表は大人びて少年のような雰囲気もある彼女を映画『レオン』のマチルダのようだと感じたと明かしている。事務所に入ってからは約1年間演技のレッスンを受け、俳優としての準備を始めた。[5]
芸名「全」の由来
高校時代は仕事と学業を両立させた。デビュー後まもなく広告で顔が知られるようになり、学校の職員室の郵便受けがファンレターであふれ、校門には彼女を一目見ようと男子学生が集まる日もあったという。本名はワン・ジヒョンで、1998年にドラマに出演したことを機に「チョン・ジヒョン」という芸名を使い始めた。芸能人の名前としては響きが今ひとつだという理由から、当時彼女をドラマに起用した演出家が、「王」の字に笠をかぶせたような形が格好いいとして「全」の字に替えたとされる。こうして10代のうちにモデル、広告、ドラマへと活動の幅を広げ、俳優としての歩みが始まった。[5]
活動の歩み
『猟奇的な彼女』の大ヒット
出世作となったのは、クァク・ジェヨン監督、チャ・テヒョン共演のロマンティック・コメディ『猟奇的な彼女』(2001年)である。際立つ美貌と予測不能な行動力を併せ持つ「彼女」を演じた同作は、公開当時に500万人近い観客を集め、その後は中国などアジア各地でも長く愛され、初期の韓流を代表する映画となった。リメイク権は海外各国に売れ、2016年には続編映画、2017年にはドラマ版も作られた。公開から20年を迎えた2021年には、4Kリマスターを施した監督版の公開が決まっている。クァク監督は後のインタビューで、今に至るまで「彼女」役にチョン・ジヒョンほど似合う俳優はいなかったと語り、2001年という時代と俳優、監督の巡り合わせがすべて噛み合った作品だったと振り返っている。[6][7]
伸び悩みと海外合作への挑戦
『猟奇的な彼女』以降は出演作の興行が振るわず、「広告スターに安住しているのではないか」という視線も向けられた。そうしたなかで挑んだのが、押井守が製作したアニメを原作とする多国籍合作のアクション大作『ラスト・ブラッド』(2009年)である。フランス・香港・日本の合作で、彼女は人間と吸血鬼の混血である16歳のヴァンパイアハンター、サヤを演じた。撮影は2006年末から2007年前半にかけてアルゼンチンと中国で行われ、事前に米国と中国を行き来して3か月アクションの訓練を積み、英語の台詞にも挑んだ。韓国の女優が多国籍合作映画で事実上の単独主演を務めた点でも注目された。本人は公開当時、キャリアの割に多様な姿を見せられなかったことは反省しているとしつつ、これからもっとうまくやれると信じていると語っていた。[8]
『暗殺』での再ブレイク
2010年代に入ると、華やかなイメージとは異なる役柄で評価を高めていく。リュ・スンワン監督の『ベルリンファイル』(2013年)では、陰謀と裏切りのなかで秘密の鍵を握る通訳官リョン・ジョンヒを演じた。続いて、映画『10人の泥棒たち』でも共演したキム・スヒョンと再び組んだSBSドラマ『星から来たあなた』で14年ぶりにテレビドラマへ戻り、2014年の第50回百想芸術大賞でテレビ部門大賞を受賞した。2015年にはチェ・ドンフン監督の『暗殺』に主演し、1933年の上海と京城を舞台に親日派の暗殺作戦を描いた同作は観客1000万人を突破した。突破を受けて彼女は、「とても幸せ」と喜びをつづったメッセージを寄せている。[9][10][11]
配信シリーズでの新境地
2021年には、Netflixのシリーズ『キングダム』の特別編『キングダム:アシンの物語』で、死者がよみがえる悲劇の起源にかかわる秘密を抱えた女性アシンを演じた。シリーズ全編の脚本を手がけたキム・ウニは、『暗殺』や『ベルリンファイル』で見せた悲しみを帯びた眼差しにひかれ、最初から彼女を想定して書いたと明かし、台詞なしで感情を伝える演技を「完璧だった」と称えている。同年にはドラマ『智異山』にも出演した。2025年にはディズニープラスのオリジナルシリーズ『北極星』でカン・ドンウォンとともに主演を務め、国連大使として国際的な名声を築いたムンジュが、大統領候補の銃撃事件の黒幕を追う諜報メロドラマを率いた。[12][13][3]
エピソード
「孤独にさせろ」という指示
『ベルリンファイル』への出演は、彼女の側から動いて実現した。リュ・スンワン監督によると、ヒロイン像がまだ固まっていなかった時期に本人から台本を読みたいと電話があり、会ってみると画面越しの印象とは違う素朴な美しさがあったという。監督は、これまでと違う姿を見せたいという彼女の積極的な熱意を起用の決め手に挙げた。さらに制作報告会では、役に必要な陰りを自然に引き出すため、スタッフに「チョン・ジヒョンを孤独にさせろ」と密かに指示していたと告白し、編集版を見たパク・チャヌク監督から彼女の演技に驚いたという趣旨のメッセージが届いたことも明かした。[9]
泣きながら撮ったアクション
初めての本格アクションとなった『ラスト・ブラッド』の撮影は過酷だった。路地で米軍将校の娘を救う場面は1か月にわたって夜の雨の中で撮り続け、ワイヤーアクションの最中にクレーンに強くぶつかり、声を上げて泣いた日もあったという。「もうアクション映画はやらない」と口癖のように言う彼女に、武術監督のウォン・ギュは、ジェット・リーもジャッキー・チェンも同じことを言いながら続けてきたと笑って返した。一方で、自分を知る人がほとんどいない海外の現場は「白紙になったような感覚」だったと振り返っている。後年のインタビューでも、若いころから海外作品の機会があれば挑み、その流れで自然とアクションを手がけるようになったと語り、台詞に頼らずとも共感を生めるアクションの経験が後の作品に生きたとしている。[8][15]
百想での「地球に残ってくれて」
2014年の百想芸術大賞でテレビ部門大賞に名前を呼ばれた彼女は、韓国にとどまらずアジアの視聴者、脚本家パク・ジウン、演出陣とスタッフに感謝を述べた。そのうえで相手役のキム・スヒョンに向け、劇中の役名ト・ミンジュンを呼びながら星に帰らず地球に残ってくれたことへの礼を伝え、「また一緒にやろう」と会場を和ませた。さらに、作品に臨むたびにこれが最後かもしれないという思いで演じており、そのたびに止まっていた心臓が再び動き出すように感じると語り、自分の鼓動が視聴者に届いたのならうれしいと目を潤ませた。[10]
『군체』とカンヌの舞台裏
ヨン・サンホ監督のゾンビ映画『군체』(原題、「群体」の意)は第79回カンヌ国際映画祭のミッドナイト・スクリーニング部門に招待され、2026年5月にリュミエール大劇場で世界初上映された。上映後は5分間拍手が鳴りやまなかったと報じられている。生命工学者クォン・セジョンを演じた彼女は、アンバサダーとしてカンヌを訪れたことはあったが、出演した韓国映画で招かれたのは初めてで、「以前に行ったカンヌはカンヌではなかった」と笑った。出演の理由については、コロナ禍以降に映画の脚本を検討する機会が減っていたなか、自分が見たいと思える緊迫感ある脚本だったと説明し、俳優は自分がやりたい作品より観客が見たい作品を選ぶべきだとも述べている。同作は2026年公開の映画で最も速いペースで観客200万人を突破した。[14][15][16]
プロフィール
作品
年は作品の公開日・放送開始日です。本人の参加時期を示すものではありません。
出典
リンク先の著作権は各発行元に帰属します。本文は転載せず、確認した事実をもとに書き起こしています。
- チョン・ジヒョン — 人物の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- キングダム: アシンの物語 — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- 智異山 — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- 青い海の伝説 — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- スター研究所:チョン・ジヒョン、学生時代からのスター性OBS京仁TV/公式一次情報/確認日 2026-10-08
- 『猟奇的な彼女』公開20年で4Kリマスター監督版が公開へSPOTV NEWS/参考出典/確認日 2026-10-08
- クァク・ジェヨン監督インタビュー:『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンは大きな幸運スポーツ東亜/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- 『ブラッド』主演チョン・ジヒョン「死ぬほど大変だった」ソウル新聞/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- 『ベルリン』リュ・スンワン監督「チョン・ジヒョンのキャスティングは特別だった」ニューストゥデイ/参考出典/確認日 2026-10-08
- 百想芸術大賞テレビ部門大賞チョン・ジヒョンの受賞スピーチSBS芸能ニュース/公式一次情報/確認日 2026-10-08
- 『暗殺』チョン・ジヒョンとチェ・ドンフン監督、観客1000万人突破の感想YTN(OSEN配信)/参考出典/確認日 2026-10-08
- 『キングダム:アシンの物語』キム・ウニ脚本家インタビューSPOTV NEWS/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- チョン・ジヒョンとカン・ドンウォン主演、ディズニープラス『北極星』配信日決定KBS芸能/公式一次情報/確認日 2026-10-08
- ヨン・サンホ監督『군체』、カンヌで初上映聯合ニュース/参考出典/確認日 2026-10-08
- インタビュー:『군체』チョン・ジヒョン、11年ぶりのスクリーン復帰亜洲経済/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08
- インタビュー:チョン・ジヒョン、11年ぶりのスクリーン復帰作『군체』を語るクッキーニュース/本人・関係者インタビュー/確認日 2026-10-08