ユ・アイン
ユ・アインは1986年大邱生まれの俳優。『トキメキ☆成均館スキャンダル』『ベテラン』『王の運命』『バーニング』などで同世代を代表する俳優と評されたが、医療用麻薬の常習投薬などで2025年に執行猶予付きの有罪判決が確定した。
更新 2026-10-08/出典確認 2026-10-09
生い立ちとデビューまで
校門前でのスカウト
本名はオム・ホンシク。1986年10月6日、大邱で生まれた。慶北芸術高校の西洋画科に通っていた1年生のとき、大邱を訪れていた芸能事務所の関係者に校門の前で声をかけられたのが芸能界入りのきっかけである。両親は強く反対したが、本人は「何か引き寄せるものがあった」として単身ソウルへ向かった。ソウルの美術高校に転校したもののほどなく自主退学し、のちに高卒認定試験に合格している。退学の理由については「学校は自分の人生にあまり意味を与えなかった」と語った。上京後は考試院や事務所の宿舎で暮らし、友人も少ない孤独な時期を過ごした。当初は俳優志望というより「芸能人になりたい子どもの気持ちだった」と振り返り、ソロ歌手を目指してボーカルの訓練も受けたが、才能がないと言われて断念している。
人気の絶頂で選んだ空白
「ユ・アイン」という芸名で2003年にCMデビューし、同年秋にはKBSの青春ドラマ『반올림(四捨五入)』のオーディションを受けた。一度は落ちたものの改めて連絡を受け、2004年から芸名と同じ名前の美術少年アイン役で出演した。絵もピアノも得意な大人びた「アインお兄さん」は10代に大人気となり、ファンカフェの会員は15万人近くに達した。ところが番組終了後、彼は故郷の大邱に戻って活動をいったん止めてしまう。急に訪れた人気が本当に自分の望んだものなのか分からなくなり、どんな俳優になるのかを考えるために意図的に休んだのだという。この空白期間に、演技を自分の仕事として本気で受け止めるようになったと後に語っている。
活動の歩み
独立映画から成均館へ
活動再開後の最初の作品は、2006年に撮影したスクリーンデビュー作の独立映画『우리에게 내일은 없다(僕らに明日はない)』(2007年公開)で、本物の銃を手に入れようとする少年を演じた。小規模な作品だったが、ロカルノ国際映画祭で審査員特別言及を受け、本人も釜山映画評論家協会賞の新人男優賞を手にした。その後、『좋지 아니한가(いいじゃないか)』(2007年)、時代劇『最強チル』(2008年)、パティシエ見習いを演じた『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』(2008年)、『結婚できない男』(2009年)と経験を重ね、アイドル的なイメージから実力派の若手へと評価を変えていった。大きな転機は2010年の『トキメキ☆成均館スキャンダル』で、型破りな儒生ムン・ジェシンを演じて20代を代表する俳優として一気に知名度を高めた。翌2011年の映画『ワンドゥギ』も興行的に成功し、主演級の地位を固めた。
2015年の全盛期と海外の評価
2014年の『密会』で年上の女性と恋に落ちる天才ピアニストを演じたあと、2015年は財閥3世の悪役チョ・テオを演じた『ベテラン』、思悼世子を演じた『王の運命 -歴史を変えた八日間-』、李芳遠役の大河ドラマ『六龍が飛ぶ』が相次いでヒットした。『王の運命』で青龍映画賞主演男優賞、『六龍が飛ぶ』で百想芸術大賞テレビ部門最優秀演技賞を受けている。2018年にはイ・チャンドン監督の『バーニング 劇場版』でカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に参加し、米ニューヨーク・タイムズ紙の年間ベスト俳優の一人に選ばれた。その後も『国家が破産する日』、セリフのない役で体重を15キロ以上増やした『声もなく』、Netflixで世界的に視聴された『#生きている』、新興宗教の教祖を演じた『地獄が呼んでいる』(2021年)と話題作が続いた。俳優業と並行して、2014年にはアーティスト集団「スタジオ・コンクリート」を共同設立し、ギャラリー運営や展示の企画も手がけた。
薬物事件と有罪確定
2023年2月、医療用麻酔薬プロポフォールの過剰処方の疑いで警察の捜査を受けていることが明らかになった。その後の検査で大麻などの成分も検出されたと報じられ、2度の逮捕状請求はいずれも棄却されたが、同年10月に起訴された。公判で本人側は、うつ病を長く患い施術に伴う睡眠麻酔に依存するようになったことと大麻の吸引は認めたが、知人に大麻を勧めたとされる点などは否認した。2024年9月の一審は懲役1年の実刑として法廷拘束、2025年2月の控訴審は懲役1年・執行猶予2年に減刑して釈放し、同年7月に大法院が上告を棄却して刑が確定した。2020〜2022年に181回にわたって医療用麻薬を投与されたこと、他人名義で睡眠薬を不正に処方させたこと、大麻を吸ったことは有罪とされ、大麻吸引の教唆や証拠隠滅の教唆は無罪となった。事件の間に撮影済みの『終末のフール』『スンブ:二人の棋士』などは公開されたが、『地獄が呼んでいる』シーズン2では役が別の俳優に交代した。
エピソード
「悲しいですね」のひと言
スクリーンデビュー作の監督ノ・ドンソクは、オーディションでユ・アインに役柄について尋ねたところ、彼が窓の外をしばらく見つめてから「悲しいですよね」とひと言だけ返したことが印象に残り、起用の決め手になったと明かしている。『バーニング』では、イ・チャンドン監督のもとで、体重を大きく落とし、感情を表に出さずただそこに存在する青年を演じた。本人は、怒りを爆発させる『ベテラン』とは正反対のこの役を撮り終えて「卵から新しく孵ったような気分」だったと表現している。『密会』の天才ピアニスト役では演奏映像を手本に指使いを覚え、鍵盤は実際に自分で叩き、音はプロの演奏を重ねる方法で撮影したという。
物言う俳優の光と影
若いころからSNSで率直に意見を述べる俳優として知られた。2009年には出演映画『하늘과 바다(空と海)』を巡り、製作者が現場で越権行為をしたと批判する文章をミニホームページに載せ、製作者側が全面的に反論する騒ぎになった。2014年に警察広報団への志願が伝わると、芸能兵制度が廃止された直後だったこともあり「特別扱いではないか」と批判が集まり、最終面接を自ら辞退している。兵役は、骨腫瘍を理由に再検査を経て2017年に5級(戦時勤労役)の判定を受け、免除となった。同じ時期にはSNS上の言い合いが性別を巡る論争に発展したこともある。本人は「イシューメーカーだった。後悔はしていない」と語る一方、俳優を「火の塊を抱えて生きる人たち」と表現しており、その熱量が評価と反発の両方を生んできた。
プロフィール
作品
年は作品の公開日・放送開始日です。本人の参加時期を示すものではありません。
出典
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- ユ・アイン — 人物の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- 終末のフール — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- バーニング 劇場版 — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- 地獄が呼んでいる — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- スンブ:二人の棋士 — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- シカゴ・タイプライター — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08