イ・スンギ
イ・スンギは1987年ソウル生まれの歌手・俳優・MC。高校時代に歌手イ・ソニに見いだされ2004年に歌手デビューし、『1泊2日』の「虚当(ホダン)」キャラクターと『華麗なる遺産』などのドラマで、歌・演技・バラエティを横断する「マルチテイナー」の代表格となった。
更新 2026-10-08/出典確認 2026-10-09
生い立ちとデビューまで
高校のバンド少年とイ・ソニ
1987年1月13日、ソウルで生まれた。芸能界との接点は高校のバンド部だった。大学進学のため両親にやめるよう言われ、最後のつもりで出た大学路の劇場公演に、たまたま大歌手イ・ソニが居合わせ、彼の歌声に目を留めた。ところが当の少年はイ・ソニが誰なのかよく知らず、最初の誘いを断ってしまったという。考え直すよう背中を押したのは母親で、改めて彼女を訪ねたことからデビューへの道が開けた。デビュー前にはイ・ソニと合宿生活を送りながら指導を受けたとされ、彼は後年まで、礼儀や人との接し方を叩き込んでくれた恩師として彼女の名前を挙げ続けている。
「年下の男」で鮮烈デビュー
2004年、1stアルバム『ナバンエ・クム(蛾の夢)』でデビューした。タイトル曲「僕の女だから(내 여자라니까)」はPSYが手がけた曲で、年上の女性に臆せず想いをぶつける年下の男という歌詞が当時としては大胆で、「年下男」ブームの象徴として一気に注目を集めた。ただし順風満帆だったわけではない。本人は後に、この1集の活動を終えた直後に事務所の代表へ「芸能人を辞めたい」と申し出て、実際に3〜4カ月ほど休んだと明かしている。期待に応えなければという重圧に押しつぶされそうだったといい、その間は司法試験を受けて検事になる道まで考えたという。
舞台に戻った理由
休んでみてわかったのは、ステージに立っている時ほど幸せな瞬間はほかにない、という単純な事実だった。決意を固めて事務所に戻ると、代表はすでに両親と連絡を取り合っており、彼が帰ってくることも見越して録音の準備まで整えていたという。わざと知らないふりをして考える時間を与えてくれていたわけだ。本人はこの経験以降、「前だけを見て走ってきた」と振り返っている。早くから芸能界に入ったため、友人と芝生に座って出前を取るような普通の学生生活をあまり経験できなかったことも、インタビューで率直に語っている。
活動の歩み
『1泊2日』と俳優としての飛躍
歌手として出発した彼の知名度を全国区に押し上げたのは、KBSのバラエティ『1泊2日』シーズン1だった。張り切るほど抜けが出てしまう姿を兄貴分の出演者たちにいじられ、「虚当(ホダン)」というあだ名が定着する。一方でドラマにも本格進出し、シットコム『ノンストップ5』を経て『噂のチル姫』(2006年)に出演、2009年の『華麗なる遺産』では最高視聴率47%台を記録する大ヒットの主演を務めた。その後も『僕の彼女は九尾狐(クミホ)』(2010年)、『キング~Two Hearts』(2012年)、『九家の書~千年に一度の恋~』(2013年)と主演作を重ね、歌・演技・バラエティのいずれでも結果を出す存在になった。
兵役を経て幅を広げる
2014年の『君たちは包囲された!』の後、2016年2月に陸軍へ入隊した。論山の訓練所を経て特殊戦司令部の第13空輸特戦旅団に配属され、2017年10月に満期除隊している。復帰後は『花遊記<ファユギ>』(2017〜2018年)で孫悟空をモチーフにした役を演じ、『バガボンド』(2019年)ではアクション、『マウス』(2021年)では善悪の境界が揺らぐ難役に挑んだ。2022年には『法に則って愛せ(법대로 사랑하라)』に主演。バラエティでも『集師父一体』や『新西遊記』などで、20代前半の優等生像とは違う遠慮のない一面を見せ、オーディション番組『シングアゲイン』シリーズではMCとして参加者に寄り添う進行が評価されている。
独立、そして歌手への回帰
2022年末に長年在籍した事務所と決別し、1人事務所「ヒューマンメイド」で再出発した(経緯は後述)。2024年には映画『大家族』で役のために頭を丸め、俳優としての新たな一面を見せた。近年は歌手活動にも再び比重を置き、KBS『不朽の名曲』で優勝したほか、JTBC『ヒドゥンシンガー8』に原曲歌手として登場して話題を呼んだ。2026年10月24・25日にはソウルのブルースクエアで、約13年ぶりとなる本格的な単独コンサート「2026 イ・スンギ コンサート〈起承転:樂〉」の開催が予定されており、チケットは発売直後に売り切れ、追加公演も決まった。
エピソード
18年分の精算をめぐる争い
2022年11月、彼はデビュー以来所属してきたフックエンターテインメントに内容証明を送り、音源の収益精算を一度も受けていないと主張した。この問題は業界の契約慣行を問う騒動に発展し、同年12月に専属契約は解除された。事務所側が起こした債務不存在確認訴訟では、2025年4月に広告収益の未払い分として約5億8000万ウォンの支払いを命じる一審判決が出て、そのまま確定している。さらに契約終了後に発生した音源・音盤収益をめぐる訴訟でも、2026年8月、裁判所は約6億9000万ウォンの支払いを命じ、別途の合意がなくても精算義務があると判断した。いわゆる「良い子」のイメージが強かった彼が、自分の権利のために正面から争ったことは大きな驚きをもって受け止められた。
結婚と、義父の事件への決断
2023年4月7日、女優イ・ダインと結婚した。かつて「恋愛と仕事ならどちらを取るか」と聞かれて「7割以上は愛を選ぶと思う」と即答していた人らしい選択だった。2024年2月に長女、2026年7月7日に長男が生まれ、2児の父となっている。一方、妻の継父にあたる人物(女優キョン・ミリの夫)が株価操作の疑いで繰り返し起訴されたことは、結婚当初から彼にとって重い問題だった。2025年、彼は「家族間の信頼は回復が難しいほど損なわれた」として、夫婦で妻の実家との関係を断つと公表し、被害者と世間に謝罪した。この義父は2026年9月の一審で懲役3年6カ月の実刑判決を受け、法廷拘束されたと報じられている。
クリームパンと「本気」の哲学
『キング~Two Hearts』の山中ロケでは、疲れ切った様子のイ・ジェギュ監督にパンを差し入れたところ「今まで食べたクリームパンで一番うまい」と喜ばれ、うれしくなってスタッフの分まで買い込んだという。新人時代に厳しく礼儀を仕込まれたこともあり、今でも歌番組やバラエティの楽屋を回って先輩にあいさつすることを当然の基本だと語る。座右の言葉として挙げるのは「努力」と「真心」で、自分は生まれつき突出した才能の持ち主ではないからこそ、「成長し続ける姿で唯一無二の人になりたい」と話している。学業も続け、東国大学の大学院で文化コンテンツを学んだ時期には、現場で体得したことを理論として整理できるのが楽しいと語っていた。
プロフィール
作品
年は作品の公開日・放送開始日です。本人の参加時期を示すものではありません。
出典
リンク先の著作権は各発行元に帰属します。本文は転載せず、確認した事実をもとに書き起こしています。
- イ・スンギ — 人物の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- マウス — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- バガボンド — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- 花遊記 — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- 犯人はお前だ! — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08
- 法に従って愛せ — 出演者・公開日の構造化データWikidata/構造化出典/確認日 2026-10-08